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バングラディッシュの首都ダッカに到着。 正月のひっそりとした東京から来てみると、その凄まじい喧噪に圧倒されてしまう。 もうずいぶん前に読んだ本だけれど、「もの食う人々の(辺見庸著)」の第一話がたしかダッカだった。冒頭に、「ラッパの音に誘われて」という一節があったように記憶しているが、高らかに噴き上がる街のノイズはまさにラッパ的だ。トロンボーンやトランペットじゃなくて、ちょっと投げやりで無秩序まところがじつにラッパ的。 こうした街を歩いていると、東京の記憶がどんどん吹き飛んでいってしまう。そして、旅することの気恥ずかしさが少しづつ軽減されてくる。 昨年末、ある忘年会の席で写真家の齋藤亮一さんとお話をして、海外を旅することと写真との関係について少し考えさせられることがあった。というか、ふだん自分が思っていることを齋藤さんの口からうかがったということなのだろう。 齋藤さんといえば、海外ものの写真集をはじめ受賞歴も多数あるわけだけれど、いまは海外を撮影することにあまり目がいかないという。もうそういう時代ではないのだという思いがどこかにあるらしい。それを聞きながら、正直なところぼくもひどく同意してしまったのだった。つまり、海外を旅し撮ることに対し、ある種の違和感をぼくもずっと抱き続けてきたからだ。 「旅する写真家」とか「放浪する写真家」とか常套句はいろいろあるけれど、そこにある種の気恥ずかしさを覚えてしまうのはなぜだろう。おそらく、ぼくの場合には、かつての自分を取り巻く旅の状況が影響しているのは間違いないだろう。具体的にいえば、90年代後半、アジアの旅がひとつのブームの様相を呈していた頃の話だ。 自分も当時旅していたのだからとやかくいえる筋合いではないし、そのお陰で写真や文筆のスタート地点にも立てたわけだけれど、あの頃は、ブームの渦中にいるという気恥ずかしさがいつも拭いがたくあった気がする。単純にいえば、流行ものに飛びついちゃってダサイな?という感覚だ。ましてや、あの頃は猿岩石の影響で旅する者も大勢いた。そんなこんなで旅人というところにカテゴライズされる居心地の悪さが、いまもずっと続いているような気がしてしまうのだ。 それに加えて、海外の写真はもういいかな、という感覚は、言葉で説明をすると長くなってしまうけれど、わかる人(とくに写真家とか)にはすっと実感されることではないだろうか。とにかく玉石混淆、ステレオタイプな旅写真が巷に溢れ返り過ぎてしまった。また写真に限らず、旅や旅先で出会った人々の生活を自己表現の手段に使うというのも、すでに手垢がついた安直な手法というか、時代遅れの感が拭えない。 そんな違和感を抱きつつ、一時期その他の諸事情もあって旅から遠ざかっていたのだけれど、またこうして、旅をするという気恥ずかしさに襲われながらも、延長戦のように旅を続けている。 そういえば、昨年の秋、写真家の奥山淳志さんとこんな会話を交わしたのを思い出す。 「別に小池さんはインドが撮りたいってわけではないですよね?」 「奥山さんも岩手を撮ることを通して、人間の普遍性みたいなところに触れたいってことですよね?」 インドが専門ですか、とか、やっぱりインドを紹介したいんですね、とか問われて、そのまま話が噛み合なくなることはよくあるけれど、こういう会話からはじめられるとすっと気持ちが開いてくる。 長々と書いてしまったが、要はそういう写真が撮れるかどうかの問題に過ぎないのだ。 二、三週間のごく短い行程だけれど、年の初めにふさわしい勢いのある旅にしたい。 ![]()
by koikehidefumi
| 2011-01-05 20:07
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