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来年の四月、新宿のコニカミノルタで写真展をやらせてもらうことになった。 連絡をもらってすでに一ヶ月以上が経つので、展示デザインについて色々と考えを巡らせているのだが、どうもすっきりしない。 理由は簡単。 作品がいまひとつ足りないのだ。 テーマは今度も「水」。それも「波濤」が基軸。 そこでおりをみて自分の作品を眺め回しているのだけれど、首をひねりつつ最後にいつも頭に浮かんでくるのが、森永純さんの「波」の写真だ。 ![]() 上のような写真を眺めていると、時間が経つのをつい忘れてしまう。 それはたしかに「波」なんだけれど、眼を凝らすと生や死や時間や宇宙的記憶といったものが波の背後から沸き出してきて、激しく揺さぶられてしまう。 「見えないものを見えるようにする」と言ったのはパウルクレーだ。 だが、絵画と違って写真には見えないものは写らない。 本物の写真が開示してくれるものとは、見えていても普段は見落としてしまうもの、日常の背後に横たわる根源的な事象、それを改めて気づかせてくれるところにあるのではないか。 とすれば、それをもっとも強くぼくに働きかけてくるのが森永さんの写真だ。 そんな理由からここ数週間氏の写真が頭からずっと離れないでいたのだが、先週末のこと、ある会に足を運んだら、なんとそこでご本人とお会いする機会に恵まれた。出会いとは本当に不思議なものだ。 といっても、せっかく紹介していただいても、緊張のあまり、「大ファンなんです」などと口走ってしまう始末だったけれど…。 森永さんの写真は、「河」と「波」のシリーズがとても有名だが、それに加えて、「水滴の風景」という現在進行形のシリーズがある。2年前のエプサイトでそれをいくつか拝見したとき、その神々しいまでに澄み渡った世界観に写真の前から動けなくなった。いまわの際が写っている。どうすればあのような曇りなく透明な眼差しを獲得することができるのだろうか。 「たしか二年ほど前、エプサイトで水滴の作品を拝見したんですが、今後発表されるご予定は?」 そう尋ねると、少し照れたように苦笑しながら、 「なかなか思うように進まなくて…」 と深々と腰を折られた。 デジカメで1000枚のオーダーを一日にこなす時代のなかで、恐縮したように苦笑するその姿に触れたとき、一枚の写真の重みを改めて突きつけられたような気がした。作品が足りない? ならばさらに撮ればいいんじゃないでしょうか。そう問われているような気がした。 どのみちいくら作品を眺め渡しても、写真が生起してくるわけでもない。 四月の写真展に向けて、年明けからまた旅に出てみようと思う。
by koikehidefumi
| 2011-12-07 07:25
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