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今夏知り合ったフリーの編集者からメールが届いた。メールには写真が貼付されており、それを眺めていると以前彼女と交わした会話が思い出されてきた。 会話の内容は、自らのベストショットについて、といったものだった。 彼女も一時期写真に真剣に取り組んでおり、それで話題がそこに及んだわけだが、正直なところ、自分のベストショットはどれかと言われてもぼくにはあまりピンとこない。というのも、その日の気分によってそれはとても異なるし、セレクションを要する場合も、最終的な判断はデザイナーや編集者に下駄を預けてしまうことが多いからだ。つまり自分の作品というものが、他者との出会いの中でどう意味性を獲得し、また変容してゆくのか。それを楽しみたい気分が強いのだ。 ちなみに送られてきたのはロンドンのヒースロー空港で撮られた一枚だった。待ち合わせロビーの中央にいすが向き合って並んでおり、そこに一人の男が座っている。男は雑誌か新聞に目を傾けており、そのいくぶんの前傾した姿勢からは哀愁めいたものが感じられる。男の後方は滑走路に面した広大なガラス張りになっている。窓の向こうからは朝の光がまばゆく射し込んでおり、一人座り込む男の影が黒々と床に延びている。その影と床とが織り成すコントラストが美しく、さらにそこに異国であるという非日常性も加わって、写真をシュールなものに見せている。 昨日書いた村上さんの写真も同じように感じられたが、そうした写真に秘められているのは、作者の内的興奮と、その内的興奮がどこからきたのか、あるいはどういう意味性があるのか、そんなことはわかりはしないというある種の世界に対する謙虚さではないか。それは世界に対して物わかりが良さそうでいて実は勝手な解釈を迫る写真、表現物の対極にあるように思う。最近は自分のなかのノンフィクション的文脈からいかに脱するか、そんなことを考えていたので、こうした写真に強く呼応するのかも知れない。
by koikehidefumi
| 2007-09-10 08:00
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